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慢性腎臓病・腎不全

慢性腎臓病・腎不全とは

慢性腎臓病とは、何らかの腎臓の障害が3か月以上持続するものと定義されています。腎不全とは、腎臓病の進行によって腎臓の機能が低下し、その働きが30%以下になった状態を指します。
このうち、数日から数週間という短期間で腎不全に至ったものを「急性腎不全」、何年もかけて徐々に腎不全に進行したものを「慢性腎不全」と言います。
急性腎不全であれば治療によって機能を回復させることが可能ですが、慢性腎不全ではほぼ機能回復が難しくなります。また、さらに腎臓の機能が低下すると「末期腎不全」となり、人工透析あるいは腎移植が必要になります。

慢性腎臓病・腎不全の原因

慢性腎臓病・腎不全の原因としては、糖尿病腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症、多発性嚢胞腎、IgA腎症、C3腎症といった腎臓病が挙げられます。
糖尿病腎症は糖尿病の合併症、腎硬化症は高血圧や脂質異常症の合併症として知られています。慢性腎臓病や腎不全の発症には、これら生活習慣病が大きく関わっています。

症状がないことも?
慢性腎臓病の主な症状

腎機能の低下に伴い、以下のような症状が現れます。

  • 夜間の頻尿、多尿(末期には尿量減少)
  • むくみ
  • 疲労感、倦怠感
  • 食欲不振
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 高血圧
  • 呼吸が速くなる
  • 痙攣、意識障害
  • 貧血
  • 骨折しやすくなる

慢性腎臓病の検査と診断

尿検査、血液検査が基本的な検査となります。
その他、必要に応じて、超音波検査も実施します。超音波検査については、専門の超音波検査技師が担当いたします。

尿検査

尿中のタンパク、糖、潜血、白血球の量、比重などを調べます。

微量アルブミン尿

初期の糖尿病の場合、本来であれば血液中にあるはずのアルブミン(タンパク質の一種)が尿中でも認められます。

尿糖

慢性的な高血糖の場合、尿中に糖分が認められます。
ただ、糖尿病などの病気以外の理由で一時的に尿糖が多くなることがあるため、血液検査の結果を考慮して診断します。

タンパク尿

尿中のタンパクの量が多い場合には、腎臓の機能低下が疑われます。
その他、風邪をひいている場合、運動後なども、タンパク尿が認められます。

潜血尿

肉眼では見えなくても、尿中に血液が混じっていることがあります。
腎炎などの病気の可能性を考える必要があります。

血液検査

腎臓は、血液をろ過する機能、赤血球を作るホルモン(エリスロポエチン)を生成する機能などを持ちます。
血液検査では、血液自体について調べるだけでなく、腎臓の状態についても調べることができます。
主な項目としては、血清クレアチニン、血清尿素窒素、ナトリウム、カリウムなど挙げられます。
当院では、15分で結果の出る血液検査装置を導入しております。

慢性腎臓病のステージ
(進行段階)

慢性腎臓病のステージは、以下のように分類されます。

ステージ1~2:
軽い腎機能低下

腎臓の軽度の障害・機能低下が認められる一方、自覚症状はありません。この段階でも、健康診断で発見が可能です。
早期に適切な治療を開始することで、機能の回復が期待できます。

ステージ3:
腎機能が半分近く低下

腎臓の機能が半分程度まで低下しています。夜間の頻尿、高血圧、むくみ、貧血といった症状が認められます。
すぐに治療を開始すれば、機能回復の望みがあります。

ステージ4:
重度の腎機能低下

腎臓の機能が30%未満にまで低下している「腎不全」の状態です。むくみ、疲労感などの全身症状が見られます。
この段階になると、治療で腎臓の機能を回復させることは困難です。現状の維持、進行の食い止めに主眼を置き、人工透析の導入をできるだけ遅らせます。

ステージ5:
末期腎不全

腎臓がほとんど機能していない「末期腎不全」の状態です。食欲不振、吐き気、頭痛、息苦しさなどの症状が見られます。また初期には頻尿・多量が見られましたが、この段階になると今度は尿量が減少します。
人工透析、腎移植などが必要になります。人工透析は原則、生涯継続する必要があります。
このステージまで腎臓の機能が増悪している患者様は、近い将来、透析治療も考慮しなければならない可能性があるため、人工透析治療等が可能な病院へご紹介させて頂きます。

治療方法

治療は大きく、進行を遅らせ機能を維持するための治療と、低下した腎臓の機能を補う治療に分けられます。

進行を遅らせ機能を
維持するための治療

腎炎などの原因疾患に対する治療、糖尿病・高血圧・脂質異常症・高尿酸血症などの腎臓に負担をかける病気の治療を行います。

低下した腎臓の機能を
補う治療

まずは減塩を中心とした食事療法を行います。
十分な効果が得られない場合には、血圧を下げる降圧剤、むくみを改善する利尿剤などを使用します。
また腎性貧血に対する薬物療法として、エリスロポエチンというホルモンを内服薬または注射薬で投与します。
腎性骨代謝異常に対しては、食事療法や薬物療法を行います。

上記のような治療を行っても、末期腎不全にまで進むことを完全に防げるわけではありません。末期腎不全になった場合には、人工透析、腎移植といった治療が必要になります。