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腸炎(虚血性大腸炎・急性腸炎・憩室炎)

虚血性大腸炎

虚血性大腸炎虚血性大腸炎とは、大腸粘膜の血流が不足する(虚血)病気です。典型例では、突然の強い腹痛と下痢、そしてその後血便が認められます。
性別では女性に多く、特に高齢者・便秘持ちの方に好発します。

虚血性大腸炎の原因

虚血性大腸炎は、動脈硬化などの血管の障害、便秘・浣腸・蠕動運動の亢進といった腸管の障害が重なることで、大腸粘膜の血流が低下し、発症するものと考えられます。
動脈硬化の背景には、糖尿病・高血圧・脂質異常症があることが多くなります。
その他、ストレスも関与しているものと思われます。

虚血性大腸炎の症状

主に、以下のような症状が見られます。炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)、大腸憩室炎と症状が似ています。

  • 突然の腹痛(左下腹部痛が多い)と下痢
  • その後の血便

虚血性大腸炎を放っておくとどうなる?

放置していると、炎症部が潰瘍を形成します。さらに腸管狭窄、腸閉塞へと進行してしまうこともあります。
腸閉塞になると、緊急手術が必要になることもあります。

虚血性大腸炎の検査

問診の上で、レントゲン検査、血液検査、腹部超音波検査、大腸カメラ検査などを行います。
レントゲン検査では便秘の有無・ガスの状態を、血液検査では炎症の程度・重症度を、超音波検査では腸管の壁の肥厚・周囲の炎症の程度をそれぞれ調べます。
炎症性腸疾患や大腸憩室炎など、似た症状を持つ疾患との鑑別においては、大腸カメラ検査がもっとも有用です。当院では、鎮静剤を用いた、専門医による苦痛の少ない大腸カメラ検査を行っております。また、血液検査の結果も15分で出ますので、その日のうちに結果のお伝えが可能です。
超音波検査においては、専門の超音波エコー技師が担当いたします。

大腸カメラ検査について詳しくはこちら

超音波検査について詳しくはこちら

虚血性大腸炎の治療

虚血性大腸炎と診断した場合には、主に以下のような治療を行います。
潰瘍が生じるなど重症化している場合には、入院が必要になります。

絶食・食事療法

まずは安静の上、絶食とします。また必要に応じて、点滴を行います。
その後、状態を確認しながら少しずつ食事を再開していきます。多くの場合、1~2週間で状態は安定します。
外来通院で治るケースと、入院での治療が必要になるケースがあります。

薬物療法

感染の可能性がある場合には、抗生物質を使用します。

虚血性大腸炎になったら
食べてはいけないもの

絶食を終えてからも、しばらくは消化の良いものを摂り、徐々に内容・量を元に戻していきます。
脂っこいもの、繊維の多いもの、香辛料などの刺激物、アルコール、カフェインについては、医師の許可があるまで控えるようにしてください。

急性腸炎

急性腸炎とは、主にウイルス・細菌の感染を原因として、腹痛・下痢・嘔吐といった急激な症状に見舞われる病気です。
ウイルスや細菌の感染を原因とする感染性のものと、食物アレルギーなどを原因とする非感染性のものに分けられます。

急性腸炎はうつる場合も…
原因について

感染性の急性腸炎の原因としては、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、サルモネラ菌、カンピロバクター、コレラ菌、赤痢菌、病原性大腸菌などが挙げられます。水・食べ物、糞便、動物などを介して感染します。こちらは、人から人へとうつる可能性があります。
一方の非感染性の急性腸炎の原因としては、食物アレルギー、暴飲暴食、冷たいものの摂り過ぎなどが挙げられます。

急性腸炎の症状

主に、以下のような症状が見られます。嘔吐、下痢、発熱がある場合には、脱水症にも注意しなければなりません。

  • 腹痛
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 食欲不振
  • 発熱
  • 血便

急性腸炎の検査

問診では、症状や服用中の薬、既往歴に加え、思い当たる原因(食事、まわりの発病者の有無)などについてお伺いします。
その上で、血液検査、便の培養検査などを行います。また、必要に応じて大腸カメラ検査にも対応します。当院では、鎮静剤を用いた苦痛の少ない大腸カメラ検査を行っております。専門医が丁寧な検査を行いますので、安心してご相談ください。
血液検査においては、最新の検査機器を導入しておりますので、その日のうちに結果をお伝えできます。

大腸カメラ検査について詳しくはこちら

急性腸炎は何日で治る?
治療法について

急性腸炎は、適切な治療を受ければ数日以内に症状が改善します。感染性の場合には、周囲の人にうつさないよう対策することも大切です。

食事療法

安静の上、絶食します。ただしその間も、脱水症に気をつけ、小まめに水分を摂るようにしてください。
症状が落ち着いてからは、おかゆ、バナナなどの消化の良い食事を再開します。
水分を摂れない状況が続けば点滴が必要になりますので、点滴をご希望の場合は当院へ来院ください。

薬物療法

細菌を原因とする場合には抗菌薬を使用します。ウイルスを原因とする場合には、根本的な治療としての投薬は一部を除き使用できませんので、自然な排出を待ちます。
その他、発熱や腹痛に対する対症療法として、解熱鎮痛剤も使用します。

憩室炎

大腸の壁が部分的に外側にくぼんだ状態を「憩室症」と言います。憩室症のうち、憩室で炎症を起こしたものを「憩室炎」と呼びます。憩室で化膿や出血を起こすこともあります。
憩室ができただけでは基本的に無症状ですが、憩室炎を起こすと腹痛や発熱、吐き気・嘔吐などの症状が出現します。症状が軽くても悪化することがあるため、早急な診断・治療が必要です。

憩室炎の原因

長期にわたる便秘・排便時のいきみ癖、ストレスなどによって腸管内の圧力が高まると、まず憩室が生じます(憩室症)。
ここに、細菌感染、食生活の乱れ、運動不足、ストレスなどが重なることで、憩室炎が引き起こされます。

憩室炎は繰り返すことが
ある?

憩室炎は、治療後も比較的再発しやすい病気です。
排便習慣・食習慣・運動習慣を見直し、ストレスを溜めないことで、再発を防ぎましょう。

憩室炎の前兆は?
症状について

憩室症から憩室炎へと進行すると、主に以下のような症状が見られます。
前兆と呼べるものは特にありません。

  • 腹痛
  • 発熱
  • 吐き気、嘔吐
  • 腹部膨満感
  • 腹部の圧迫感、不快感

憩室炎の検査

問診では、症状や服用中の薬、既往歴・家族歴、食習慣などについてお伺いします。
その上で、炎症や貧血の有無・程度を調べる血液検査、憩室炎の位置・範囲を調べる腹部超音波検査、大腸カメラ検査などを行います。
大腸カメラ検査では、憩室炎の場所を調べるだけでなく、止血処置をしたり、組織を採取したりすることも可能です。専門医が苦痛の少ない大腸カメラ検査を行いますので、安心してご相談ください。
血液検査においても、最新の検査機器を導入しております。15分で結果をお伝えすることが可能です。
腹部超音波検査は、専門の超音波エコー技師が実施します。

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憩室炎の治療

憩室炎と診断した場合、主に以下のような治療を行います。

薬物療法

細菌感染に対する抗生物質の投与(内服または静脈注射)が中心となります。

生活習慣の改善

再発防止のため、生活習慣の改善も重要です。
バランスの良い食事を基本とし、便秘にならないよう野菜・果物・海藻類などを意識して食卓に取り入れましょう。あわせて、適度な運動、ストレスの解消にも取り組みます。